今、オーラルヒストリー記録が大切な理由(2)

 

NOHC源です。

 

行政がまちづくりを主導する時代は終わりました。現代は“コミュニティの自治力“が問われる時代です。しかし、現状は“コミュニティの希薄化“が進んでいます。だからこそ、生活者の営みや体験にもとづく生きた歴史、生活文化の記憶が共有されることで、コミュニティ強化や、その地域ならではのまちづくりにつなげていくことがとても有意義なのです。

ここでやめてしまえば格好いいのですが(笑)、これは私が2018年度から参画しているオーラルヒストリー記録プロジェクト「心に残る・未来に残したい記憶 佃島・月島百景」に、同じく協力者として加わってくださっている芝浦工業大学建築学部教授で、まちづくりの専門家である志村秀明先生が、「オーラルヒストリーの意義」を熱く伝える時に話されるフレーズです。

このフレーズに「うん、うん、その通りだ…」と思われる方は多いのではないでしょうか?

日頃、町会・自治会活動に関わっておられる方々からは、

「町会活動に若い世代が加わってくれないため、高齢化が進んでいる」
「旧住民と新住民の接点がなく、コミュニケーションが取れない」
「地域イベントをやろうと思っても新しいアイデアが出ないため、マンネリ化している」

…という声が聞かれる一方で、

「コミュニティ活動に参加したい気持ちはあるが、どんなことをやっているのかわからない」
「コミュニティ活動の入り口(窓口)がわからない」
「若い人がいなさそうなので、一度入るとなかなか抜けられないのではないかと不安」

…といった声も聞かれます。

これは非常にもったいないことではないでしょうか?

これらを解決するきっかけになるのが、地域のオーラルヒストリービデオを活用した取り組みです。

オーラルヒストリービデオを視聴後の「まち」「まちづくり」に対する印象の変化

オーラルヒストリービデオを視聴したあとは、まちに対する印象がガラッと変わり、まちづくりに対する関心も高まるという研究結果があります。
「佃島・月島百景」で芝浦工大・志村ゼミの学生が、月島周辺に暮らす方々(月島生活者)19名とまち歩きを行いました。1回目は口頭によるガイド、2回目は場所と動画をリンクさせた「オーラルヒストリー・ビデオマップ」を使い、途中ビデオを視聴してもらいながらガイドをしました。各回のアンケート結果の一部が以下です。

Q  西仲通り商店街の印象は?

1回目(口頭によるガイド)後:「もんじゃのまち」(※圧倒的に)
2回目(ビデオを見ながら)後:「(昔の)商店主の想いのあるまち」「人づきあいが盛んなまち」

Q  まちづくりに対する関心は高まりましたか?

2回目:100%の人が「とても高まった」「少し高まった」

私は、オーラルヒストリービデオを視聴することによって、まちのさまざまな生活景を知り、それらを想像することで、理解・愛着・共感といった意識が醸成されたのではないかと思います。そして、そのことがコミュニティ活動への関心を高め、まちの未来を考えるといったポジティブな行動に繋がると期待しています。

上映会&意見交換会、昔遊びなど町会イベントとのコラボレーション

「佃島・月島百景」では、年度末に活動生活発表として上映会を行い、後半は志村先生とゼミの学生たちがリードし、意見交換会(ワークショップ)を実施します。
10人くらいのグループに分かれ「ビデオの感想は?」「ビデオを活用するアイデアは?」「このまちの未来がどうあってほしいと思いますか?」といった質問を投げかけます。新・旧住民、地元民と他の地区からの参加者…などが入り混じるなか、一生懸命に意見やアイデアを出してくださるのですが、私は「まちに対する思いは本質的には一緒なんだな」と感じることが多いです。

また、こうした取り組み自体が“新たなコミュニティづくり“となっている、と中央区文化推進事業助成の審査員の方々からも評価されています。

もし、皆さんのまちでオーラルヒストリービデオを作って、公民館などで上映会を行い、その場でちょっとした意見交換会や交流会などを開催したら、

・引っ越してきたばかりでしたが、この地域の歴史がよくわかりました
・地域のよさが理解できてとても面白かったです
・何かコミュニティ活動に参加できたらと思っていたんですが、どんな活動があるのでしょうか?
・「私も○○小学校の卒業生なのよ」「娘の大先輩なんですね!小学生の頃はどんな様子だったんですか?」

…といった感じで話が弾むことでしょう。

他にも、ベーゴマなど昔遊びを伝えているいる団体とのコラボもいいですね。町会でイベントを開催し、子どもたちが地域の大人たちからベーゴマを教わり楽しんでいる間に、横にちょっとしたブースを作ってオーラルヒストリービデオを上映する。終わったら、感想を述べあったり、町会活動をPRしたり・・・。

アイデアはいくらでも出てくると思います。ぜひ町会・自治会活動の一環として、オーラルヒストリー活動を進めることをご検討いただければと思います。

 

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源資NOHC 代表理事

投稿者プロフィール

源 資(みなもとやすし)
昭和42年(1967年)富山市生まれ。県立富山高校、明治大学卒業。ゼネコン退社後、成り行きで映像制作の世界に入りそのまま制作ディレクターとなる。2018年度より中央区における地域オーラルヒストリー記録プロジェクト「佃島・月島百景」に参画。ポケット・クリエイション代表。(一社)NOHC代表理事。中野区野方在住。

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コメント

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